猫の関節炎と老化の見分け方は?両者の違いを獣医師が解説

こちらを見ているキジトラ猫

「最近ソファに登らなくなったけど、これは老化なのかな?」
「猫の痛みに気づいてあげられているかどうか不安です」
このような疑問や不安を抱えている飼い主様は多いのではないでしょうか。
猫は痛みがあっても表情などの外見から見分けのつきにくい動物です。
そのため、関節炎が進行していても、単なる老化だと思われて見落とされることが少なくありません。

今回の記事では、猫の関節炎が老化とどう違うのか、見分けるためのサインと受診の目安をわかりやすく解説します。
「うちの子はもしかしたら関節炎かもしれない」と感じている飼い主様は、ぜひ参考にしてください。

こちらを見ているキジトラ猫
目次

猫の関節炎とは

猫の関節炎とは、関節を保護する軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じる病気です。
中でも最もよくみられるのが変形性関節症で、中高齢の猫に多く発症します。

猫の関節炎は多くの猫で発症していると言われています。
ある研究によると、6歳以上の約61%が1つ以上の関節に変形性関節症の所見があるとされており、12歳を超えると90%以上で変形性関節症の所見がみられると報告されています。

しかし、猫の関節炎は気付かれないまま進行してしまうケースが非常に多い病気です。
その理由は、猫が本能的に痛みを隠すためです。
猫は弱みを見せまいとする習性があり、痛みがあってもそれを表にあまり出しません。
代わりに、日常の行動が少しずつ変わっていきます。
「歳のせいかな?」と思っていた変化が、実は関節炎のサインだったというケースは珍しくありません。

猫の関節炎と老化の見分け方

猫の関節炎と老化は、一見すると同じような変化として現れます。
しかし、見るべきポイントを押さえて日常的に観察することで見分けることが可能です。

猫の行動の変化で気づくサイン

関節炎がある猫は、痛みをかばうために特定の動作を避けるようになります。
次のような行動変化が見られたら関節炎のサインかもしれません。

  • ソファや机などの高い場所に登らなくなる
  • ジャンプをためらう、または着地のときに痛がる
  • 毛繕いの回数が減る
  • 階段や段差を避ける

こうした変化は「歳のせいかな」と見過ごされやすいです。
ただし、複数の変化が重なっているときなどは、老化ではなく関節炎の可能性を疑う必要があります。

猫の老化による変化と関節炎の症状の違い

老化した猫では全体的な活動量が緩やかに減少します。
一方で関節炎の猫では、ジャンプなどの特定の動作だけを避けたり、触ると嫌がるようになるなどの変化が見られます。

加えて老化した猫と関節炎の猫では、食欲の変化にも違いが見られます。
老化では代謝や活動量の低下に伴い、食べる量が緩やかに減ることが多いです。
一方関節炎では、食欲そのものが失われるわけではなく、食べたいのに痛くて食べられないという状態になっていることがあります。
特に次の部位に関節炎がある猫では、床に置いた食器まで頭を下げる姿勢が関節に負担をかけるため、食べかけでやめてしまうことがあります。

  • 前足

この場合は食器台を高くして屈まずに食べられるようにすると食欲が戻ることがあります。
もし食器台を高くして食欲が戻るようなら、関節炎による影響が考えられます。

「うちの子は高い場所には上がらないけど活動量に大きな変化はない」
「最近階段だけ避けている気がする」
このような場合は、老化ではなく関節炎が疑われるため、病院を受診してみることがおすすめです。

ジャンプしようとしているソマリ

猫の関節炎で病院を受診する目安

猫の関節炎は早期に発見して対処することで、痛みの進行を抑えることができます。
「もう高齢だし様子を見てみようかな」と放置してしまうと、関節の変形が進んでしまいます。

関節炎は進行性の疾患のため、一度変形した関節は元には戻りません。
早めに受診することで痛みの緩和に加えて、進行を遅らせる治療の選択肢も広がります。
生活環境の整え方や日常的なケアについて、かかりつけの獣医師に相談することもおすすめです。
気になる行動の変化があれば早めに病院を受診しましょう。

猫の関節炎で早めに受診すべきサイン

次のようなサインが見られた場合は、早めに病院を受診しましょう。

  • 行動の変化が数日以上続く
  • 食欲の減少や体重減少がある
  • 抱っこや特定の部位を触られるのを嫌がる

「まだ大丈夫かな」と思えても、関節炎が想像より進行している場合もあるため、早めの受診が重要です。

キャットウォークの上で手を舐める猫

まとめ

猫の関節炎は、ジャンプを避けたり高い場所に上がらなくなったりするといった行動の変化として現れます。
老化との大きな違いは、老化では全身に緩やかに変化が現れることに対し、関節炎では特定の動作だけを避けることです。
数日以上行動の変化が続く場合や、触ると嫌がる部位がある場合などは、早めに病院の受診をご検討ください。

RASKでは整形外科を専門とする獣医師が全国の提携病院で診療に対応しています。
猫の関節疾患の診療にも対応していますので、猫の行動の変化が気になるときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中