犬の前十字靭帯断裂の手術後のリハビリとは?リハビリの方法について獣医師が解説

「前十字靭帯断裂の手術を終えて退院したけどリハビリって何をしたらいいの?」
「リハビリではどのくらい動かしたり、安静にしたらいいの?」
「自宅以外でもできるリハビリはないの?」
このような疑問をお持ちの飼い主様も多いのではないでしょうか?

犬の前十字靭帯断裂の手術後のリハビリは、犬が元通りの生活を送るために欠かせません。
今回の記事では、前十字靭帯断裂の手術後にリハビリが重要な理由や専門施設で受けられるリハビリなどについて解説します。
リハビリの内容ややり方について悩みをお持ちの飼い主様は、ぜひ参考にしてください。

目次

犬の前十字靭帯断裂の手術後にリハビリが重要な理由

犬の前十字靭帯断裂の手術後のリハビリは、手術をした足の機能回復を助け、生活の質を高めるために重要です。

リハビリが重要な理由には次の3つが挙げられます。

  • 足の機能回復の促進
  • 筋肉の萎縮防止
  • 再発防止と反対側の足への負担軽減

それぞれ見ていきましょう。

足の機能回復の促進

リハビリは足の機能回復の促進のために重要です。
リハビリを行うことで、関節の動く範囲の改善や筋肉量の回復などの効果が期待できます。

また、手術前に長く足を挙げていた犬は、正しい足の使い方をなかなか思い出せないことがあります。
これは、足がどこにあるかを脳に伝える感覚が鈍るために起こる現象です。
リハビリで行われるバランストレーニングはこの感覚を取り戻すために大切です。
このように、リハビリは犬が正常な歩き方を思い出すためのトレーニングとしても重要な役割を果たしています。

筋肉の萎縮防止

筋肉の萎縮防止もリハビリによって得られる効果です。
犬は手術後一時的に足をかばって歩くため、手術をした側の足の筋肉が萎縮してしまいます。
このような萎縮を廃用性萎縮と呼び、前十字靭帯断裂などの整形外科疾患において問題になることがあります。
廃用性萎縮が進むと、筋肉と骨の間に癒着が生じ、関節の動きが制限される原因にもなります。
リハビリは廃用性萎縮を防ぎ、関節を支える力を維持するためにも重要です。

再発防止と反対側の足への負担軽減

リハビリは前十字靭帯断裂を起こした犬の反対側の足への負担軽減と再発防止につながります。
片側の前十字靭帯を断裂した犬は、1〜2年以内に反対側も断裂するケースが30〜50%程度あるという報告もあります。
リハビリによって手術した側の足が早く使えるようになれば反対側の足への負担が軽減され、再発のリスクの低減が期待できます。

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専門施設で受けられる前十字靭帯手術後のリハビリ

手術後の本格的なリハビリは、専門的な知識と設備をもつ施設で行うことも可能です。
専門施設では、犬の状態に合わせた段階的なプログラムが組まれ、安全に機能回復を進めることができます。

主なリハビリの方法としては水中トレッドミルや理学療法・マッサージが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。

水中トレッドミル

水中トレッドミルは、手術後のリハビリの一つとして、有効性が報告されています。
これは、水の浮力を利用しながら歩行運動を行うリハビリ方法です。
浮力によって体重の負荷が軽減された状態で歩けるため、術後間もない時期から関節への過度な負担なく筋力回復を促すことができます。
また、水の抵抗により、陸上歩行よりも少ない動作で筋肉に刺激を与えられる点も特徴です。

理学療法・マッサージ

理学療法では、関節の可動域を広げるために、ストレッチやバランストレーニングなどが行われます。
手術後の関節は固くなりやすく、放置すると可動域が制限されたまま固まってしまうことがあります。
そのため、関節の可動域を維持・回復させるリハビリが重要です。

また、マッサージでは筋肉の緊張をほぐして血流を促進する効果があります。
さらに手術した足だけでなく、かばっていた反対側の足や腰回りにも施術できるため、全身のバランスを整える効果も期待できます。

自宅でできる補助的なケア

自宅でのケアでは、まず安静を保つことが最優先です。
手術後の決められた期間は、ケージ内で自由な動きを制限するケージレストが行われます。
そして、段階的に運動制限を解除し、少しずつ運動量を増やしていくことができます。
ただし、自己判断で運動を再開してしまうと、逆効果になる可能性があるため、必ず獣医師の指示を受けながら運動制限を解除していくことが大切です。
具体的な方法としては、犬がリードをつけて短時間歩く練習を行うことなどが挙げられます。
滑りにくい平坦な場所でゆっくりと歩くことで、犬が手術をした足に体重をかける感覚を少しずつ取り戻していく効果が期待できます。

あわせて、室内の環境整備も重要になります。
転倒防止のためにフローリングマットを設置したり、ソファやベッドへの飛び乗りを制限したりすることで、足に負担がかかりすぎないようにすることが大切です。

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まとめ

リハビリは、前十字靭帯断裂の術後から早期に関節の可動域を改善し、足の機能回復を目指すために重要です。
専門施設で行われるトレッドミルや理学療法と、自宅でのケアを組み合わせることで、効果的なリハビリを行うことができます。

RASKでは、整形外科を専門とする獣医師が全国の提携病院で手術や診療を行っています。
手術後のリハビリに関するご相談もお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中