犬の脾臓摘出手術とは?手術が必要になる原因と手術後の管理を獣医師が解説

「健診で脾臓にしこりが見つかった」
「脾臓摘出が必要といわれたが、どんな手術かよくわからない」
「手術後の生活はどう変わるのか不安だ」
犬を飼っているなかで、こんな不安を感じたことはありませんか?
犬の脾臓摘出は、脾臓に腫瘍や出血などの異常が起きた場合に行われる外科手術です。
緊急性が高いケースも多く、飼い主様が病気や手術についての知識を持っておくことはとても大切です。

本記事では犬の脾臓摘出について、

  • 脾臓の役割
  • 手術が必要になる病気
  • 手術の流れ
  • 手術後のケアのポイント

をわかりやすく解説します。
愛犬の病気と手術について正しく理解するために、ぜひ最後までお読みください。

目次

犬の脾臓とは?

脾臓は胃のそばにある細長い臓器です。
脾臓の主な役割として、

  • 古くなった赤血球を壊してリサイクルする
  • 免疫細胞を蓄えて感染から体を守る
  • 緊急時に血液を全身へ送り出す貯血の役割を担う

などが挙げられます。
脾臓は非常に血液が豊富な臓器で、異常が起きると大量出血につながりやすいという特徴があります。
また、脾臓がなくても肝臓などがその役割を一部補うため、脾臓摘出後も生活の質を維持することが可能です。

犬の脾臓摘出が必要になる病気とは?

犬の脾臓摘出が必要となる主な病気として、以下のものが挙げられます。

脾臓腫瘍

犬の脾臓に最もよく見られる病気が腫瘍です。
脾臓の腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。
良性では「血腫」や「結節性過形成」、悪性では「血管肉腫」が代表的です。
とくに血管肉腫は悪性度が高く、破裂して腹腔内に大量出血を引き起こすリスクがあります。
腫瘍の種類は摘出して病理検査を行うまで確定できないため、しこりが見つかった場合は早めに手術を検討することが多いです。

脾臓破裂・腹腔内出血

脾臓の腫瘍や外傷によって脾臓が破裂すると、腹腔内に大量の血液がたまります。

  • 突然ぐったりする
  • 歯茎が白くなる
  • お腹が膨れる

といった症状が現れた場合は、脾臓破裂による出血の可能性があります。
この場合は一刻を争う緊急手術が必要です。

脾臓捻転

脾臓がねじれて血流が遮断される病気です。
脾臓捻転は、胃がねじれる「胃捻転」に伴って起きることが多いです。
急激な腹痛やぐったりするなどの症状が現れ、緊急手術が必要になります。

足を投げ出しているシーズー

犬の脾臓摘出手術の流れ

脾臓摘出は全身麻酔をかけてお腹を切開し、脾臓に繋がる血管を処理したうえで脾臓を丸ごと取り出す手術です。
手術時間は犬の状態や出血の有無によって異なりますが、1〜2時間程度が目安になります。
手術前には、

  • 血液検査
  • レントゲン
  • 超音波検査

などで犬の全身状態や脾臓の状態の確認が必要です。
緊急手術の場合は、手術前の検査と同時進行で輸血や点滴による全身管理が行われながら手術が準備されます。
摘出した脾臓は病理検査に提出し、腫瘍の種類や悪性度の確認が行われます。

犬の脾臓摘出後の入院期間

入院期間は犬の状態によって異なりますが、手術後3〜7日程度が目安です。
手術後は

  • 点滴
  • 鎮痛剤
  • 抗生剤

の投与を行いながら、犬の食欲や元気の回復を確認して退院となります。
緊急手術で全身状態が悪化していた場合や、高齢の犬では入院が長引くこともあります。

犬の脾臓摘出後の注意点

脾臓摘出は一般的に安全性の高い手術ですが、術後にはいくつかの点に注意が必要です。
退院後に気をつけていただきたいこととして、以下のようなものがあります。

  • 傷口を舐めないようにエリザベスカラーを装着する
  • 術後1〜2週間は激しい運動を避け、安静に過ごす
  • 食欲や排泄の状態を毎日観察する
  • 傷口の腫れや滲出液がないか確認する
  • 定期的な通院で術後の回復状態を確認する

悪性腫瘍だった場合は、手術後に抗がん剤などの追加の治療が検討されることがあります。
病理検査の結果をもとに、今後の治療方針について獣医師とよく相談しながら進めていくことが大切です。

こちらを見ているラブラドールレトリーバー

まとめ

犬の脾臓摘出は、腫瘍や出血など脾臓に深刻な異常が起きた場合に必要となる手術です。
緊急を要するケースも多いため、「突然ぐったりした」「お腹が膨れてきた」といった変化に気づいたときは、迷わず動物病院を受診してください。RASKでは全国の提携動物病院で外科手術の出張サービスを行っています。
愛犬の脾臓の病気について不安をお持ちの方は、お気軽にお近くの提携動物病院までご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中