犬の腸閉塞の手術|手術の必要性と術式を獣医師が解説

豚のおもちゃを齧りながらこちらを見ている犬

「犬が異物を飲み込んでしまい、手術が必要と言われた」
「腸閉塞の手術ってどんなことをするの?」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

犬の腸閉塞は、異物や腫瘍などによって腸の通り道が塞がれてしまう病気です。
放置すると腸が壊死したり穴が開いたりして、命に関わる状態になることもあります。
そのため、多くの場合は早期の手術が必要です。

今回は犬の腸閉塞について

  • 手術が必要になるケース
  • 手術の流れ
  • 代表的な術式
  • 術後の注意点

などを詳しく解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬が腸閉塞と診断された際の参考にしていただければ幸いです。

目次

犬の腸閉塞とは

犬の腸閉塞とは、何らかの原因によって腸の内容物が正常に流れなくなる病気です。
犬の腸閉塞の原因で最も多いのは異物誤飲です。
例えば

  • おもちゃ
  • 靴下
  • マットの破片

などを飲み込むことで腸閉塞を起こすことがあります。

そのほかにも

  • 腸重積
  • 腸腫瘍
  • 腸のねじれ
  • ヘルニア

などが原因となることもあります。
腸重積とは腸の一部がその先の腸に引き込まれて重なってしまう病気です。
ヘルニアでは腸があるべき場所から飛び出してしまうことで腸閉塞が起こります。

腸閉塞では食べ物や消化液が流れなくなるため、激しい嘔吐や脱水が起こります。
閉塞した部分の血流が悪くなると腸が壊死し、腹膜炎や敗血症へ進行することがあり非常に危険です。

犬の腸閉塞で手術が必要になるとき

腸閉塞は次のような場合で手術が必要になる可能性が高いです。

異物が自然に排出されない

最も多い手術の理由です。
胃や腸に異物が詰まったままになると自然排出は期待できません。
特に紐状異物や大きな異物は手術が必要になることが多いでしょう。

腸が完全に閉塞している

食べ物やガスが全く通過できない状態では、内科治療だけで改善することは困難です。
画像検査で完全閉塞が疑われる場合は、早急な手術が推奨されます。

腸の壊死や穿孔が疑われる

閉塞が長時間続くと腸の血流が途絶えます。
その結果

  • 腸壊死
  • 腸穿孔

を起こす危険があります。
腸壊死や腸穿孔が起きると腸の細菌がお腹の中に漏れて、腹膜炎や敗血症といった危険な病態が引き起こされる可能性が高いです。
この段階では緊急手術が必要です。

犬の腸閉塞の手術方法

おもちゃを取り合っているフレンチブルドッグとゴールデンレトリバー

腸閉塞の手術では閉塞の原因を取り除き、腸の機能を回復させることが目的です。
お腹を開けて腸全体を確認し、閉塞している部位や腸のダメージの程度を評価します。
その結果に応じて最適な術式を選択します。

腸切開術

異物による腸閉塞で最も多く行われる手術です。
閉塞している部分の腸を切開し、異物を取り出した後に縫合します。
腸の血流が保たれている場合には、この術式で治療できることがほとんどです。
腸へのダメージが比較的少なく、術後の回復も良好なことが多い方法です。

腸切除・吻合術

異物や腫瘍によって腸が壊死していたり、穿孔していたりする場合に行われます。
傷んだ腸を切除し、健康な腸同士を縫い合わせます。
腸切開術よりも侵襲が大きく、術後は縫合不全や腹膜炎などの合併症にも注意が必要です。

腸重積整復術

腸重積では腸が腸の中へ入り込んでしまいます。
血流が保たれている場合は重積を解除します。
壊死している場合には腸切除や吻合術が必要です。

犬の腸閉塞手術の流れ

腸閉塞の手術は

  • 身体検査
  • 画像検査
  • 血液検査
  • 点滴による全身状態の安定化
  • 全身麻酔下での手術

という流れで行われることが多いです。

まず身体検査で全身状態を確認し、脱水やショックの有無を評価します。
X線検査や超音波検査を行い、閉塞部位や異物の有無を確認します。
場合によってはCTが必要になることもありますね。
血液検査では全身麻酔が可能か、より詳しく全身状態のチェックを行います。
脱水や循環不全がある場合には、まず点滴治療で全身状態を安定化することが必要です。
全身状態が安定し、麻酔に耐えうる状態になったら原因に応じた術式で閉塞を解除します。

腸閉塞の手術後の注意点

腸閉塞の手術はハイリスクな手術です。
手術後も

  • 数日間の入院
  • 退院後の安静
  • 消化の良い食事
  • 再発予防の徹底

などの注意深いケアが必要となります。

術後は点滴や鎮痛剤、抗菌薬などを使用しながら回復を確認するために入院が必要です。
食事を再開できるか、嘔吐がないかを慎重に看護が行われます。
退院後もしばらくは激しい運動を避けましょう。
散歩も短時間から始め、徐々に普段の生活へ戻していきます。
退院直後は消化器用療法食など、消化しやすい食事を少量ずつ与えることが一般的です。
食欲や便の状態を確認しながら通常の食事へ戻していきます。
異物誤飲が原因だった場合は再発防止が重要です。
犬が飲み込める大きさのおもちゃや布製品は放置せず、散歩中の拾い食いにも十分注意しましょう。

まとめ

座ったままボールを咥えて振り返ってこちらを見ている大型犬

腸閉塞は放置すると命に関わる危険な病気です。
特に異物誤飲による腸閉塞では、治療が遅れるほど腸壊死や腹膜炎を起こすリスクが高まります。

犬が

  • 何度も吐く
  • 食欲がない
  • お腹を痛がる
  • 異物を飲み込んだ可能性がある

このような症状を示している場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

RASKでは外科の出張サービスを行っております。
経験豊富な外科医が全国の動物病院へ出張し、高度な外科手術を提供しています。
犬の腸閉塞についてお悩みの際は、ぜひ提携の動物病院までご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中