犬が急に立てなくなった?原因と飼い主が知っておきたいこと

遠くを見ているウェルシュコーギー

「愛犬が突然立ち上がれなくなった」
「後ろ足に力が入らず、ふらふらしている」
「足を引きずって歩いている」

このような経験がある方も多いのではないでしょうか。
犬が急に立てなくなる背景には、骨や関節のトラブルから神経の病気まで、さまざまな問題が隠れている可能性があります。
放置すると症状が悪化し、歩行が困難になるケースも少なくありません。

この記事では、犬が急に立てなくなる原因と病院へ連れて行くべきサインについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の異変に気付いた際の参考にしてください。

ベッドで寝そべっているトイプードル
目次

「立てない」は体からの重要なサイン

「立てない」「歩けない」といった症状は、犬の体に何らかの異常が起きているサインです。
犬はもともと体調不良を隠す傾向がある動物のため、目に見える変化が現れた時点で注意が必要といえます。

痛みによって足をかばっているのか、神経の異常によって足が動かせないのかで、必要な検査や治療の方向性も異なります。
原因を正しく把握するためにも、歩き方の異変に気付いた際はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。

犬が急に立てなくなる原因

犬が急に立てなくなる原因は、

  • 整形外科疾患
  • 神経疾患
  • その他

の3つに大きく分類されます。
それぞれの特徴について見ていきましょう。

整形外科疾患

骨や関節のトラブルは、犬が急に立てなくなる代表的な原因です。
痛みのある足をかばうように歩いたり、足を地面につけようとしなくなったりする様子が見られることがあります。
以下で代表的な整形外科疾患について説明します。

骨折・脱臼

骨折は小型犬に多く、ソファやベッドからの落下といった日常的な場面でも発生します。
骨折した足には腫れや熱感が見られ、足を引きずる様子が確認されることがあります。
股関節の脱臼では強い衝撃が加わることで関節が外れ、突然歩けなくなるケースも珍しくありません。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼は、膝のお皿の骨が正常な位置からずれてしまう病気です。
トイプードルやチワワなどの小型犬で多く報告されている疾患で、症状は軽度から重度まで4段階に分類されます。
時々足を上げる程度の軽いものから、常に脱臼した状態で歩行に支障が出るものまでさまざまです。

前十字靭帯断裂

前十字靭帯は膝関節を安定させる靭帯で、断裂すると突然後ろ足をかばうようになります。
ラブラドールやゴールデンレトリーバーなどの大型犬に多い疾患で、半月板の損傷を伴うこともあります。
放置すると関節の状態がさらに悪化するおそれがあるため、異変に気付いた段階で受診が必要です。

遠くを眺めているウェルシュコーギー

神経疾患

神経の異常は、足の麻痺やふらつきといった深刻な症状を引き起こします。
整形外科疾患とは異なり、外見上の変化がわかりにくいことも多く、原因の特定には専門的な検査が必要になるケースが少なくありません。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、犬で最も多く見られる脊髄の病気です。
背骨の間でクッションの役割をする椎間板が飛び出し、脊髄を圧迫することで痛みや麻痺が生じます。
ダックスフンドやコーギーなどの犬種は遺伝的にリスクが高いとされています。
重症化した場合は自力での排泄も難しくなることがあり、早期の発見と治療が欠かせません。

前庭疾患

前庭疾患は、内耳にある平衡感覚をつかさどる前庭に異常が起きる病気です。
老犬に多く見られ、突然の首の傾きやまっすぐ歩けないといった症状が現れるほか、嘔吐や食欲不振を伴うこともあります。

その他

骨や関節、神経の病気以外にも、犬が急に立てなくなる要因は存在します。
加齢に伴う体の変化や内臓の病気など、一見すると足とは関係なさそうな原因が隠れているケースもあるため、注意が必要です。

加齢による筋力低下

加齢による筋力の低下は、特に老犬で多い変化です。
後ろ足の筋肉が衰えると踏ん張る力が弱まり、立ち上がりに時間がかかるようになることがあります。
日頃から適度な運動を続け、筋力を維持することが大切です。

心臓病・中毒など

心臓病が進行して血栓が血管に詰まると、突然足の感覚がなくなることがあります。
低血糖や中毒、誤食なども急に立てなくなる原因として考えられ、いずれも速やかな受診が必要です。

こんな症状が見られたらすぐ病院へ

以下のような症状が見られた場合は緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診してください。

  • 後ろ足が完全に動かず、引きずっている
  • 痛みで激しく鳴き、触れることを嫌がる
  • 自力で排尿や排便ができない
  • ぐったりして意識がもうろうとしている

これらの症状は、神経の損傷や骨折など、緊急性の高い疾患が疑われるサインです。
動物病院では、身体検査や神経学的検査に加え、レントゲンや超音波検査などを組み合わせて原因の特定が進められます。

飼い主の目だけで原因を見極めることは難しいため、異変に気付いた時点で早めの受診を検討しましょう。

遠くを見ている柴犬

まとめ

犬が急に立てなくなる原因は、骨折や脱臼などの整形外科疾患から椎間板ヘルニアなどの神経疾患までさまざまで、早期の診断と適切な治療が回復のカギとなります。
緊急性の高い症状はもちろん、ちょっとした歩き方の変化であっても、早めに動物病院を受診することが大切です。

RASKでは外科手術を含む幅広い診療・治療に対応しております。
愛犬の歩行に異変を感じた際は、ぜひお気軽に提携の動物病院までご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中