犬の腹腔鏡を用いた膀胱結石手術について|従来法との違いとメリットを解説

犬の腹腔鏡を用いた膀胱結石摘出手術について|従来法との違いとメリットを解説

「犬が膀胱結石と診断されたけど手術が必要なの?」
「膀胱結石の手術をすると長く入院が必要?」
「手術することで犬の体への負担が心配」
このような疑問をお持ちのご家族の方はいらっしゃいませんか?
犬の膀胱結石は、泌尿器系のトラブルの中でもよくみられる疾患の一つです。
膀胱結石では手術で結石を取り出す治療が行われます。
これまで膀胱結石の治療では、開腹手術が一般的でした。
しかし、近年では腹腔鏡を用いた手術が注目されています。

今回は、犬の腹腔鏡を用いた膀胱結石摘出手術について、特徴やメリット、注意点を詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んで、愛犬の健康管理に役立ててください。

目次

犬の膀胱結石とは?

まずは簡単に膀胱結石について解説していきます。
犬の膀胱結石は、膀胱内でミネラル成分が固まって石ができる病気です。
場合によっては複数個の石ができることもあります。

膀胱結石になると

  • 血尿
  • 頻尿や排尿困難
  • 排尿時の痛み

などが症状としてあらわれることがあります。

膀胱結石の治療法は外科手術で結石を除去することです。
手術で取り除かないと結石が尿道に詰まって命に関わることがあります。トイレの上にいるトイプードル

犬の腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術とは?

犬の腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術は、小さな切開部位からカメラと専用の器具を挿入し、膀胱内の結石を取り除く方法です。
従来の開腹による膀胱結石摘出手術との違いについてまとめてみました。

従来の開腹による膀胱結石摘出手術との違い

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術と従来の開腹による膀胱結石摘出手術には、以下のような違いがあります。

開腹による膀胱結石摘出手術腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術
切開部位5~10cm程度の大きな切開0.5~1cmの小さな切開が1カ所
動物への負担比較的大きい最小限
術後の回復時間長い(1~2週間以上)短い(数日~1週間程度)
術後の痛み痛みが強く、管理が必要痛みが少ない
入院数日必要1日

腹腔鏡を用いた犬の膀胱結石摘出手術のメリット

腹腔鏡での犬の膀胱結石摘出手術にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術では

  • 痛みが少ない
  • 結石を取り残さない
  • 術後のトラブルが起こりにくい

などが主なメリットです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。

痛みが少ない

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術では切開部位が非常に小さいため、痛みが軽減され、体への負担が少なくなります。
手術中の痛みが少なければ、麻酔の量が少なくすみます。
麻酔の量が少ないと術後の回復も早くなり、状態によっては日帰りも可能です。

痛みが少ないというのは、腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術の大きなメリットです。

結石を取り残さない

膀胱結石は複数の結石ができることがあり、開腹手術の場合は肉眼では見えない小さな結石などを取り残すリスクも少なくありません。

腹腔鏡手術では、カメラを用いて膀胱内部を拡大して観察します。
これにより、結石の位置や大きさを正確に把握することができるため、結石を取り残さずに手術することが可能です。

術後のトラブルが少ない

膀胱結石摘出手術では、手術中の膀胱への刺激などで手術後に血尿や感染などのトラブルが起こることがあります。
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術は、傷も小さく膀胱への刺激も少ないため、術後のトラブルが少なくなります。手術室のライト

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術の注意点

ここまで読んだご家族の方は、膀胱結石の手術は腹腔鏡手術にしたいと思った方もいらっしゃると思います。
しかし、腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術にはいくつかの注意点があります。
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術の注意点を詳しく説明していくので、治療法を選ぶ際の参考にしてください。

専門的な設備と技術が必要

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術は専用の器具と高度な技術を要するため、対応できる動物病院や獣医師が限られています。
どの病院でも出来るわけではないので、事前に対応可能な病院を調べておくことが大切です。

費用が高くなる可能性

腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術は、開腹手術に比べて設備や技術料がかかるため、費用が高くなることがあります。

適応条件が限られる場合がある

犬の体格や結石の大きさ、場所によっては、腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術が適さない場合もあります。
その際には、開腹手術が必要となることもあります。

特に結石が大きすぎる場合には、開腹手術になるケースが多いです。
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術の適応条件に当てはまるかどうかよく獣医師と相談してみましょう。

まとめ

膀胱結石は膀胱に石ができる病気で、治療には手術が必要です。
腹腔鏡を用いた膀胱結石摘出手術は、体への負担が少なく、安全性が高いという点で、飼い主さんにとっても犬にとっても大きなメリットがあります。
しかし、適応条件や費用面などの注意点もあるので、動物病院と十分に相談することが大切です。
犬の健康を守るため、適切な治療法を選んで、愛犬の快適な生活をサポートしていきましょう。

RASKでは、膀胱結石の治療を含む腹腔鏡手術の出張サービスを提供しています。
全国の動物病院と提携し、専門的な技術で、愛犬に最善の医療を提供いたします。
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術をお考えの方は、提携動物病院にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中