犬の腹腔鏡による避妊手術について|従来法との違いとメリットを解説
犬を飼われているご家族の方は、避妊手術について考えたことがあると思います。
犬の避妊手術は開腹して行うのが主流でした。
近年、犬の避妊手術において、腹腔鏡を用いた手術法が注目を集めています。
犬を飼われているご家族の中には
「腹腔鏡避妊手術ってなに?」
「どんな手術なの?」
「今までの避妊手術とどっちがいいの?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は腹腔鏡避妊手術の特徴やメリットについて解説します。
ぜひ最後まで読んで、犬の腹腔鏡避妊手術の理解を深めてください。
犬の腹腔鏡避妊手術とは?
犬の腹腔鏡避妊手術は、小さな切開部位からカメラと専用の器具を挿入し、子宮や卵巣を摘出する方法です。
この技術は人間の医療でも一般的に用いられており、動物医療においても徐々に普及しています。
従来の開腹手術との違い
犬の腹腔鏡避妊手術は、開腹での手術とどのように違うのでしょうか。
違いを表にまとめてみました。
項目 | 開腹手術 | 腹腔鏡手術 |
切開部位 | 5~10cm程度の大きな切開 | 0.5~1cmの小さな切開が数カ所 |
入院期間 | 1泊〜 | 日帰りも可能 |
痛み | 痛みが強いため、複数の鎮痛剤を使用 | 痛みが少なく、鎮痛剤が最小限 |
腹腔鏡避妊手術のメリット
腹腔鏡で避妊手術を行うことにはどんなメリットがあるのでしょうか?
犬の腹腔鏡避妊手術には
- 痛みが少ない
- 安全性が高い
- 感染リスクが低い
などのメリットがあげられます。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
痛みが少ない
腹腔鏡避妊手術は、小さな切開部位で手術を行うことが可能です。
そのため、傷口の痛みも開腹手術と比べると少なくなります。
また、従来の避妊手術では、卵巣を引っ張り出すときに強く痛みを感じ、術後に不快感が残ると言われていました。
腹腔鏡避妊手術では、卵巣を引っ張らずに摘出できるため、痛みが少なく術後の不快感も軽減されます。
痛みが少なくなることで、必要な鎮痛剤や麻酔の量が少なくなります。
麻酔の量が少ないと、術後の回復も早くなるため、日帰り手術も可能です。
痛みが少ないことは、犬の体の負担を減らすため、腹腔鏡避妊手術の大きなメリットですね。
安全性が高い
腹腔鏡避妊手術は、内視鏡で体の中を見ながら行います。
肉眼で見るよりも、臓器の異常や血管の位置が細かく見られるため、安全に手術が可能です。
また、手術中に出血があった場合も、止血されているかどうかを確実に見ることができます。
感染リスクが低い
手術で切開をすると、傷口から細菌などが侵入して感染症を起こすリスクがあります。
腹腔鏡避妊手術は、切開部位が小さいため、感染症のリスクが低くなります。
腹腔鏡避妊手術の注意点は?
犬の避妊手術をするなら、腹腔鏡避妊手術をしてみたいと思ったご家族の方もいらっしゃるかもしれません。
腹腔鏡避妊手術にはいくつかの注意点があります。
- 専用の設備と技術が必要
- 手術費用が高い場合がある
- 適応条件の確認が必要
などが注意点としてあげられます。
それぞれ解説していきます。
専用の設備と技術が必要
腹腔鏡避妊手術には、腹腔鏡手術専用の設備と技術を持った獣医師が必要です。
どの動物病院でもできるわけではありません。
腹腔鏡避妊手術を希望される場合は、事前に確認が必要ですね。
手術費用が高い場合がある
腹腔鏡避妊手術は、お伝えした通り専用の設備と技術が必要です。
そのため、開腹による避妊手術より費用が高くなる場合があります。
適応条件の確認が必要
犬の体格や健康状態によっては、腹腔鏡手術ができない場合もあります。
その場合は開腹による避妊手術を実施することになります。
腹腔鏡避妊手術が可能かどうか、よく獣医師と相談してみましょう。
まとめ
腹腔鏡を用いた避妊手術は、犬にとって痛みや体への負担が少ないという大きなメリットがあります。
しかし、手術には専門的な設備や技術が必要です。
そのため、費用面や適応条件を含めて、腹腔鏡避妊手術を行うかどうかよく獣医師と相談しましょう。
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腹腔鏡避妊手術にも対応しておりますので、気になる方は提携している動物病院までお問い合わせください。