動物病院での腹腔鏡手術導入ガイド|腹腔鏡手術のメリットや成功のための秘訣

獣医師2人が立ってこちらを見ている様子

動物病院での腹腔鏡手術導入ガイド|腹腔鏡手術のメリットや成功のための秘訣

近年、動物医療の現場でも腹腔鏡手術が注目を集めています。
腹腔鏡手術は従来の開腹手術に比べて傷口が小さく、術後の回復が早いため、ペットの負担を軽減できる画期的な手法です。
しかし、腹腔鏡手術の導入には専門的な知識や技術が必要であり、多くの動物病院が悩んでいるのが現状です。

本記事では、動物病院向けに腹腔鏡手術について詳しく解説します。
獣医師の皆様はぜひ最後までお読みいただき、腹腔鏡手術の導入にお役立てください。

目次

腹腔鏡手術とは?

腹腔鏡手術は小さな切開部からカメラや専用の器具を挿入し、モニターを見ながら行う手術です。
体内の様子を拡大してモニターに映し出すため、従来の開腹手術に比べて臓器や組織をより詳細に観察でき、精度の高い手術が可能です。
腹腔鏡手術は人間の医療では広く普及していますが、動物医療でもその有用性が認められつつあります。
特に、犬や猫などのペットにおいては傷口が小さいため術後の痛みが少なく、回復が早いという特徴があります。

動物病院が腹腔鏡手術を導入する5つのメリット

紙にgoodと書かれている様子

「腹腔鏡手術が動物にいいことはわかったけど、具体的にどのようなメリットがあるの?」
腹腔鏡手術を導入する際は、このように悩まれる獣医師の皆様もいるのではないでしょうか。

ここでは動物病院で腹腔鏡手術を導入する5つのメリットをご紹介します。

術後の回復が早い

腹腔鏡手術は従来の開腹手術に比べて傷口が小さいため、術後の痛みが軽減されます。
腹腔鏡手術はペットの回復が早く、入院期間が短縮されることが期待できます。
飼い主様にとっても、ペットが早く元気になることは大きな安心材料となりますね。

感染リスクの低減

一般的な開腹手術では術後に皮膚の切開部などの細菌感染のリスクがあります。
感染を起こしてしまうと、動物のQOLが低下してしまうことがあるので注意が必要です。

一方、腹腔鏡手術では小さな切開部で済むため、感染のリスクが大幅に低減されるという報告があります。

精度の高い手術が可能

腹腔鏡手術では、カメラによって体内の様子を拡大してモニターに映し出すため、細かい操作が可能です。
腹腔鏡を用いることで従来の開腹手術では難しかった部位へのアプローチも容易になることもあります。
ただし、繊細な操作を行うにはトレーニングが必要です。

飼い主様の満足度向上

ペットの負担が少ない手術は飼い主様からの信頼を得やすくなります。
飼い主様はペットの健康を第一に考えており、術後の回復が早いことや痛みが少ないことは大きな安心材料です。
腹腔鏡手術を導入することで病院への信頼が増し、リピート率の向上も期待できます。

競合他院との差別化

新しく開業する動物病院が増え続ける中、安定した経営を行っていく上で差別化戦略は重要です。
腹腔鏡手術を導入している動物病院は少ないため、先進的な技術を提供することで競合他院との差別化を図ることができます。
他院との差別化がうまくいけば、新規顧客の獲得や病院の経営基盤の安定につながります。

腹腔鏡手術が適応になるケース

腹腔鏡手術と聞くと、卵巣子宮摘出術などの避妊手術を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、腹腔鏡手術が適応になるのは避妊手術だけではありません。
腹腔鏡手術が適応になる代表的なケースは以下の通りです。

  • 腹腔内潜在精巣摘出術
  • 胆嚢摘出術
  • 膀胱結石摘出術
  • 予防的胃固定
  • 門脈体循環シャント(PSS)
  • 肝生検

腹腔鏡手術の経験を積み、スキルを身につけていくことで、腹腔鏡のメリットを最大限活かせるようになりますね。

腹腔鏡手術をマスターする方法

複数の獣医師でパソコンを覗き込んでいる様子

いざ腹腔鏡を導入しても、うまく使いこなせないと意味がありません。
腹腔鏡を使いこなすには継続的なトレーニングが重要です。

ここでは、腹腔鏡手術を習得するための方法を詳しく解説していきます。

セミナーやワークショップへの参加

セミナーやワークショップでは腹腔鏡手術の基本から応用まで、幅広い知識と技術を学ぶことができます。
実際の手術映像を見ながら解説を受けることができ、手術の手順や器具の使い方を具体的に理解することが可能です。さらに、講師の先生に直接質問することで疑問点を解消することができます。

シュミレーターを使った練習

シミュレーターを使った練習は、実際の手術に近い環境で技術を磨くのに有効です。
実際に鉗子やはさみといった器具の操作を練習することができ、縫合などの技術も磨くことができます。
はじめての腹腔鏡手術に挑む前はシュミレーターを使って練習しましょう。

経験豊富な獣医師からの指導

経験豊富な獣医師からの指導は実践的なアドバイスを受けることができるため、技術の習得に欠かせません。
特に、実際の手術現場での指導は技術の向上に大きく役立ちます。
手術の手順や器具の使い方だけでなく、術中のトラブルに対応するためのアドバイスも受けることがおすすめです。

オンライン教材や動画の活用

最近では、オンライン教材や動画を活用したトレーニングも広く行われています。
オンライン教材や動画は自宅や病院でいつでも学ぶことができるため、時間や場所を選ばずに技術を習得することができます。
特に、難しい技術や手順については繰り返し学ぶことが重要です。

まとめ

腹腔鏡手術の導入には設備や初期費用、トレーニングが必要ですが、長期的に見れば多くのメリットがあります。
実際に経験豊富な獣医師から指導を受けることが腹腔鏡手術の技術習得に重要です。

RASKでは出張腹腔鏡手術サービスを提供しており、貴院のニーズに合わせて柔軟に対応させていただきます。
腹腔鏡手術導入にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中