犬の外耳炎で手術が必要になる!?|犬の外耳炎に対する手術について解説

犬の外耳炎について
「毎年外耳炎を繰り返している」
「よく耳を掻いているが犬が嫌がって耳を見ることができない」
「犬の外耳炎の治療についてよくわかっていない」
という方は多いのではないでしょうか。
動物病院では、犬の外耳炎についての相談が非常に多いです。
犬の飼い主様にとって身近な疾患である外耳炎の治療に、外科手術が必要になるケースがあるということを知っていますか?

今回は犬の外耳炎の治療として行われる手術について解説します。
犬の繰り返す外耳炎に悩んでいる方は特に、最後までこの記事を読んでいただき、外耳炎についての理解を深めましょう。

目次

犬の外耳炎ってどんな病気?

外耳炎という病気は、犬の飼い主様なら一度は聞いたことのあるというほど身近な疾患です。
犬の外耳は、耳の鼓膜までの部分を指し、耳介と外耳道からなります。
外耳道はさらに手前から垂直耳道と水平耳道に分けられます。
外耳のうちいずれかの部分の皮膚に起こった炎症が、外耳炎です。
外耳炎の原因は複雑で、様々な因子が組み合わさることで発症と治癒を繰り返すことが多いです。

犬の外耳炎の主な原因には

  • ノギや寄生虫などの耳道内異物
  • 耳道内腫瘍
  • アレルギー性皮膚炎
  • 脂漏性皮膚炎
  • 甲状腺機能低下症などの内分泌疾患
  • 天疱瘡などの免疫介在性皮膚炎

などがあります。

これらの原因に、細菌やカビの感染や垂れ耳などの構造的な問題が組み合わさることで、外耳炎を繰り返します。
外耳炎の主な症状はかゆみで、犬は耳がかゆいと頭を振ったり足で引っ掻いたりするのが特徴的です。

かゆみ以外の症状には

  • 皮膚の赤み
  • 腫れ
  • 独特なにおい
  • 耳垂れ

などがあり、慢性化すると外耳の皮膚が肥厚して外耳道が狭くなります。
外耳道が狭くなると、皮膚の通気性が悪化しさらに外耳炎を発症しやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。

外耳炎の内科的治療とは

外耳炎の治療は、通常内科的な治療から行われます。
炎症の程度が軽度である場合や初めての発症である場合は、点耳薬などの外用薬の使用で症状が改善することが多いです。
近年よく使用される動物用の点耳薬は、抗炎症薬としてだけではなくカビや細菌に効く成分も含まれています。

外用薬による治療は局所的な治療で全身に作用しないため、副作用が最低限で済むというメリットがあります。
デメリットは、耳に直接液体の外用薬を投与するので、嫌がってできないケースや狭窄した耳道では使用できないケースがある点です。

全身の皮膚に炎症症状が出ている場合や点耳薬が使用できない場合は、内服薬が使用されます。
内服薬には抗炎症薬と、感染症も併発している場合には抗菌薬等が使われます。
内服薬は全身に作用するので、併発している疾患によっては使用できないケースがあるだけではなく、抗炎症薬も抗菌薬も長期間は使用できません。

どの治療を実施するにしても、原因となる病気がある場合はその治療を並行して行う必要があります。

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外耳炎に対して行う手術について

外耳炎の治療として、手術が必要になるのはどのようなケースなのでしょうか。
外科手術が適応になる場合は、内科的治療がうまくいかない症例や耳道内腫瘍などにより急激に耳道が狭くなってしまった症例です。

外側耳道切除術

外側耳道切除術では、犬の垂直耳道の外側のみを切除します。
耳道の皮膚の肥厚が軽度の症例や、外側耳道に腫瘤が存在する症例が適応です。
外耳炎により耳道の皮膚が肥厚しているケースでは、外耳炎の完治を目指すというより、その先の水平耳道への薬液治療をしやすくする効果が期待されます。
術後は排液が多くなるので、ドレーンという管を設置する術式がよく選択されます。

垂直耳道切除術

垂直耳道切除術は、外側だけでなく垂直耳道のすべてを切除する術式です。
垂直耳道に腫瘤や重度の狭窄のある症例で適応されます。
垂直耳道切除術では術後の排液が少ないだけでなく、外側耳道切除術に比べて美容的にも良い結果が得られます。

全耳道切除術

全耳道切除術は、垂直耳道と水平耳道の両方を切除する術式で

  • 垂直耳道だけでなく水平耳道にも病変がある場合
  • 耳介軟骨が骨化、軟骨化している場合
  • 内科的治療に反応しない重度の慢性外耳炎

などの症例が適応です。
術後は感染症や顔面神経麻痺などの合併症が出ることがあり、全耳道切除術は耳の解剖をよく理解した獣医師によって行われることが推奨されています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は犬の外耳炎治療として行われる外科手術について詳しく解説しました。
犬が毎年外耳炎を繰り返していたら、いつの間にか愛犬の耳が不可逆的な変化を起こしていたというケースはよくあります。
愛犬の耳を切除するという手術は飼い主様にとって心理的負担も大きな治療ですが、重度のかゆみに耐える愛犬と暮らすのもつらいですよね。

ラスクでは、外科に精通した獣医師が手術を実施することで、飼い主様の心理的負担をなるべく軽く、手術で生活の質を上げることを目的としています。
愛犬の耳の状態に不安のある飼い主様はぜひ一度当サービスを検討してみてください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中