犬の椎体骨折|急に立てなくなった?それは背骨の骨折かもしれません

こちらに向かっているミニチュアダックスフンド

犬の椎体骨折|急に立てなくなった?それは背骨の骨折かもしれません

「高いところから飛び降りて立てなくなった」
「背中を触ると痛がる」
大事な愛犬にそのような症状が見られたら、椎体骨折を起こしている可能性があります。

この記事では、

  • 椎体骨折とはどんな病気?
  • どんな症状が出るの?
  • 治療やその後の回復は?

といった、飼い主様が知っておきたい内容を分かりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、愛犬の背中に異変があったときに役立てていただければ幸いです。

目次

犬の椎体骨折について

椎体とは背骨を構成する1つ1つの骨のことを指します。
犬の椎体骨折とはこの椎体を骨折してしまう病気です。
犬の椎体には次の役割があります。

  • 首からしっぽまで連なることで犬の体を支える
  • 椎体の中に存在する脊髄という神経を守る

犬の椎体骨折は高所からの落下や交通事故に遭った際に起きることが多いです。
椎体骨折により背骨の一部が折れたりずれたりすると、犬の脊髄が圧迫されて麻痺や激しい痛みが生じます。
犬の椎体骨折は犬の命に関わる緊急疾患のひとつです。
椎体骨折が疑われる時は犬を動かそうとせず、すぐに動物病院を受診しましょう。

犬の椎体骨折が起こる原因

犬の椎体骨折の原因は「外傷によるもの」と「病的骨折によるもの」の2つに分けられます。
それぞれについて解説します。

外傷によるもの

犬の椎体骨折の多くは高所からの落下や交通事故といった外傷が原因です。
特に次のようなケースは要注意です。

  • ベランダや階段から落下した
  • 散歩中に車や自転車にぶつかった
  • ソファやベッドから飛び降りて変な体勢で着地した

たとえ外見上は犬は歩けていても、骨がずれて脊髄が圧迫されている場合があります。
外傷後はなるべく犬を動かさず、すぐに動物病院に連絡しましょう。

病的骨折によるもの

病的骨折とは腫瘍や感染症などで椎体がもろくなり、軽い衝撃で骨折してしまうことです。
特に高齢犬や癌の転移がある犬では病的骨折を起こすリスクが高くなります。
病的骨折のリスクがある犬は何気ない日常動作でも注意が必要です。

こちらに走ってくるフレンチブルドッグ

犬の椎体骨折のサイン

犬の椎体骨折では、骨の損傷だけでなく神経の障害が問題になります。
症状の現れ方は骨折した場所によって異なります。
代表的な症状は次の通りです。

  • 急に立てなくなった
  • 歩こうとしてもふらつく、よろける
  • 体を触ると強く痛がる
  • 排尿や排便がうまくできない
  • 首を動かすとキャンと鳴く
  • 背中が曲がって見える、姿勢が不自然

軽度の椎体骨折では一時的に動けることもありますが、時間の経過とともに脊髄が圧迫されて麻痺が進行することもあります。
1つでも当てはまる症状があれば、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

犬の椎体骨折の診断

犬の椎体骨折はレントゲン検査で椎体の骨折を確認して診断が行われます。
骨折の詳細な状態や脊髄への影響の程度を調べるためにCT検査やMRI検査を追加で行うこともあります。
犬の椎体骨折は高所からの落下や交通事故によって起こることが多いです。
これらの外傷により犬の状態が悪い場合もあります。
まずは犬が検査を行える状態か判断してから、椎体骨折の検査が行われます。

犬の椎体骨折の治療

犬の椎体骨折の治療は、損傷の程度と神経症状の有無によって大きく2つに分かれます。

保存療法

保存療法とは手術を行わず内科的治療のみを行う方法です。
軽度の骨折で犬の背骨が不安定になっていない場合は保存療法を選択します。
保存療法では次のような管理を行います。

  • 4〜6週間の安静
  • 鎮痛薬や抗炎症薬の投与
  • 体を支える補助具の使用

少しでも犬に麻痺や排尿障害がある場合は、外科手術が必要になる可能性が高いです。

外科手術

椎体骨折により犬の背骨が不安定になっている場合や神経障害がみられる場合は手術が必要です。
具体的には次のような方法が取られます。

  • スクリューと骨セメントを用いて犬の椎体を固定
  • スクリューとプレートを用いて犬の椎体を固定

手術の目的は椎体の不安定性の解消と脊髄への圧迫を取り除くことです。
麻痺の程度や手術までの時間によって、犬の回復の見込みは変わります。

草むらにいる御ールデンレトリーバー

犬の椎体骨折の治療中・治療後に気をつけたいこと

犬の椎体骨折の治療では、自宅での管理が非常に重要です。
次のポイントを意識しましょう。

安静を保つ

骨が安定するまでは、犬に無理な動きをさせないようにしましょう。
犬の抱っこや階段の昇り降り、ソファへのジャンプも禁止です。

滑らない環境を整える

フローリングは滑りやすく、リハビリ中の犬が転倒する原因になります。
マットやカーペットを敷いて、犬にとって安全な足場を作ってあげましょう。

リハビリ

手術後は、犬の筋肉の萎縮を防ぐためにリハビリが重要です。
水中トレッドミルやマッサージなどを獣医師の指導のもとで少しずつ始めましょう。

体重管理

犬の体重が増えると背骨への負担が大きくなります。
食事管理を徹底して、理想体重を保つことが回復への近道です。

犬の椎体骨折の予後と回復の見込み

犬の椎体骨折の予後は、脊髄の損傷の程度と治療までのスピードによって大きく変わります。
犬の麻痺が軽度であれば、早期の手術で歩行が回復するケースも多いです。

一方で、深部痛覚が失われている場合は、回復が難しいこともあります。
深部痛覚とは、強い痛みに反応する感覚ですね。
高所からの落下や交通事故など犬の椎体骨折が疑われる場合は早めに動物病院を受診しましょう。

こちらを見ている風になびいているヨークシャーテリア

まとめ

犬の椎体骨折は、外見からでは分かりにくいことも多い危険な病気です。
原因は落下や交通事故など分かりやすい場合もあれば、病的骨折のような日常生活の動作で起きる場合もあります。
犬の椎体骨折により犬に麻痺が出ている場合は、手術が必要になることが多いです。
犬の椎体骨折の手術では椎体の整復や後遺症を残さないために専門的な知識や高度な技術が必要になります。

RASKでは外科の専門獣医師が全国の提携動物病院で高度な手術を提供しています。
犬の椎体骨折の手術を検討している飼い主様は、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中