犬の骨折治療をもっと身近に!|整形外科の出張外科サービス導入のメリット

飼い主の膝の上で横になってリラックスするトイプードル

犬の骨折治療をもっと身近に!|整形外科の出張外科サービス導入のメリット

犬の骨折治療にお悩みの獣医師の方はいらっしゃいませんか?
犬の骨折は交通事故や高い場所からの落下、あるいは日常的な運動中の事故などで発生する可能性があります。
骨折治療には迅速な対応が求められ、特に外科治療が必要なケースでは、設備の整った動物病院での手術が一般的です。
しかし、すべての動物病院で高度な整形外科手術に対応できるわけではありません。
そのような場合は出張外科サービスを活用することで、自身の動物病院でも適切な治療を提供することが可能です。

今回は犬の骨折治療について解説し、整形外科の出張外科サービスをご紹介いたします。
犬の骨折治療に取り組みたい獣医師の皆様は、ぜひ最後までお読みいただき、出張外科サービスの利用を検討してみてください。

目次

犬の骨折治療の基本

犬の骨折治療に取り組む際には、適切な診断と治療計画が不可欠です。
骨折治療の方針は以下の要素を総合的に判断します。

  • 骨折のタイプ(単純/複雑/粉砕骨折など)
  • 骨折部位(関節内/骨幹部など)
  • 犬の年齢や体格
  • 犬の全身状態や麻酔リスク
  • 飼い主様のケア能力や経済的負担

骨折治療を成功させるには、上記の要素を考慮し、獣医師と飼い主様が協力しながら、治療をすすめることが大切です。

骨折治療の方法

犬の骨折治療は大きく分けて外科手術と保存療法の2つがあります。
骨折治療は骨折の程度や部位などを考慮し、適応を正しく判断することが大切です。

外科手術

骨折の程度が重度であったり、保存療法では整復が困難な場合には外科手術が選択されます。
代表的な骨折治療の手術にはプレート固定や髄内ピンなどがありますね。

外科手術には以下のような利点があります。

  • 解剖学的な整復が可能
  • 早期の機能回復が見込める
  • 複雑な骨折にも対応可能

また、骨折の外科手術後は疼痛管理やリハビリテーションが重要です。

保存療法

保存療法は骨折の程度が軽度の場合に行うことがあります。
保存療法はギプスや副子などで骨折部位を固定する方法が一般的です。
保存療法中は定期的なレントゲン検査を行い、骨折治癒の経過を観察します。
また、保存療法ではケージレストや運動制限など、飼い主様の協力が非常に重要です。

骨折治療が正しく行われなかった場合のリスク

ドッグランで走るシェットランドシープドッグ

犬の骨折治療において、適切な処置が行われない場合や治療が不十分な場合は、さまざまな合併症や後遺症が生じるリスクがあります。

ここでは骨折治療の代表的な合併症や後遺症をご紹介します。

骨癒合不全

骨折治療のもっとも一般的な合併症の1つが骨癒合不全です。
骨癒合不全では骨折部位が正常に癒合せず、骨がつながらなかったり、偽関節と呼ばれる不安定な関節が形成されてしまいます。
骨癒合不全が起こると、骨の変形がみられたり、歩行困難などの症状が現れるので注意が必要です。

慢性的な痛み

不適切な骨折治療は慢性的な痛みや炎症を引き起こすことがあります。
痛みが続くと犬の行動が制限され、生活の質が低下するので注意しましょう。
その結果、犬が散歩を嫌がったり、遊びに消極的になってしまいます。

関節の拘縮や筋肉の萎縮

適切な骨折の整復や固定が行われないと、関節の可動域制限が出る可能性があります。
関節の可動域制限は二次的な関節炎のリスクを増大させます。
また、関節の拘縮は筋肉の萎縮にもつながるため、歩行障害の悪化要因です。

骨折治療を出張外科サービスに依頼するメリット

白衣を着て腕組みをしている獣医師

整形外科の出張外科サービスとは、骨折手術に精通した獣医師が依頼元の動物病院に出向いて手術を行うサービスです。
出張外科サービスは飼い主様の負担軽減はもちろんのこと、獣医師の皆様にとっても多くのメリットをもたらします。

飼い主様側のメリット

動物病院で出張外科サービスを導入することで飼い主様は慣れた環境で治療を受けられる安心感を得ることができます。
かかりつけの動物病院で、いつも通りのスタッフに見守られながら治療を受けられるため、飼い主様と動物にとってストレスが少ない環境を提供できます。

また、かかりつけの動物病院から高度医療施設への通院は時間や費用などが飼い主様にとっては大きな負担です。
出張外科サービスは、飼い主様のこれらの負担を大幅に軽減することができますね。

動物病院側のメリット

動物病院で整形外科の手術に対応しようとすると、高額な設備投資や人材の確保が必要です。
出張外科サービスの利用はこれらの投資を必要とせず、初期費用やランニングコストを抑えながら、質の高い獣医療を提供することが可能です。

また、骨折治療など今までは他院へ紹介していた症例の手術を行うことで、新たな収益源を確保することができます。

まとめ

犬の骨折治療は迅速かつ適切な処置が求められます。
間違った治療を行ってしまうと、犬の生活の質が下がり、飼い主様の満足度の悪化にもつながるため要注意です。
犬の骨折治療は出張外科サービスを活用し、専門的な治療を提供することで、獣医師の皆様の負担を軽減し、飼い主様の安心にもつなげることができます。

RASKでは整形外科の手術に経験豊富な獣医師が皆様のサポートを行っています。
犬の骨折治療にお悩みの獣医師の方は、気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中