犬の予防的胃固定を腹腔鏡で行うメリットとは|予防的胃固定で犬の胃捻転を防ぐ

ドッグランで走り回るゴールデンレトリバー

犬の予防的胃固定を腹腔鏡で行うメリットとは|予防的胃固定で犬の胃捻転を防ぐ

犬の飼い主様の中には胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群)という病気を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
胃捻転は発症すると、短時間で亡くなることもある危険な病気です。
犬の胃捻転を予防するために行われるのが予防的胃固定という手術です。
予防的胃固定は従来、開腹手術で行われていましたが、最近では腹腔鏡手術で実施することもあります。

この記事では腹腔鏡による犬の予防的胃固定について詳しく説明します。
予防的胃固定の手術を検討されている犬の飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください。

目次

犬の胃捻転とは

床の上でリラックスしているスタンダードプードル

犬の胃捻転は胃が異常に膨れ、ねじれてしまう病気です。
胃捻転になると、胃の内容物やガスが排出できなくなり、血流障害から短時間でショック状態や死に至ることもあります。
胃捻転の原因ははっきりとは分かっていませんが、早食いや食後すぐに運動することなどがリスクを高めると言われています。
胃捻転の具体的な症状は以下の通りです。

  • お腹が風船のように膨らむ
  • 吐きたくても吐けない
  • よだれが止まらない
  • 呼吸が苦しい
  • ぐったりして、動けない
  • 歯茎などの粘膜が白っぽい

胃捻転は大型犬やスタンダードプードルやボルゾイなどの胸が深い犬種で発症リスクが高いとされています。
ただし、小型犬でも発症することがあるので注意が必要です。

予防的胃固定とは

予防的胃固定とは胃捻転を予防するために行う手術です。
予防的胃固定では胃の一部をお腹の内側に縫い付けて固定することで、胃がねじれてしまうのを防ぎます。
予防的胃固定は避妊・去勢手術と同時に行うケースが多いです。
特に大型犬や胸が深い犬種は胃捻転のリスクが高いので、予防的胃固定が推奨されていますね。
胃捻転は一度発生すると緊急手術が必要となり、予後も必ずしも良好とは言えません。
また、緊急手術は飼い主様の精神的、経済的な負担も大きくなります。
胃捻転のリスクが高い犬種では、予防的胃固定を行うことが犬の命を守ることにつながります。

腹腔鏡による予防的胃固定のメリット

予防的胃固定は従来、お腹を開ける開腹手術で行うことが一般的でした。
しかし、開腹手術による予防的胃固定はお腹を大きく切開する必要があり、傷口が大きくなるなどのデメリットも存在します。
そこで注目を集めているのが腹腔鏡による予防的胃固定です。
ここでは腹腔鏡による予防的胃固定のメリットを詳しく解説していきます。

傷口が小さい

腹腔鏡による予防的胃固定は、お腹に3個程度の小さな穴を開けるだけで手術が可能です。
腹腔鏡では開腹手術のように大きくお腹を切開する必要がありません。
腹腔鏡手術は臓器や筋肉へのダメージも開腹手術に比べ、少ないです。

術後の回復が早い

開腹手術による予防的胃固定は傷口が大きく、痛みが出やすいため、食欲や元気の回復に時間がかかることがあります。
腹腔鏡で予防的胃固定を行った場合は開腹手術に比べ、痛みも少ないことが多いです。
痛みが少ないと、すぐに普段の生活へ戻ることができ、犬のストレスも抑えられます。

合併症のリスクが少ない

開腹手術では傷口が大きくなり、感染などの合併症のリスクが高くなります。
腹腔鏡手術は傷が小さく、感染リスクが低くなります。
また、筋肉や臓器へのダメージも少なく済むため、その他の合併症も起きにくいです。

腹腔鏡による予防的胃固定はどの動物病院でもできる?

獣医師と並んで座る大型犬

腹腔鏡を用いた予防的胃固定は高度な技術と専門的な設備が必要です。
そのため、どこの動物病院でも受けられる手術というわけではありません。
ただ、近年は腹腔鏡手術の普及が進み、腹腔鏡を導入する動物病院が増えてきています。
腹腔鏡による予防的胃固定術を希望する場合は事前に動物病院に問い合わせて、手術が可能かどうかを確認することが重要です。

まとめ

胃捻転は発症すると命を落とすことも多い疾患です。
胃捻転を予防するためには予防的胃固定を若いうちに受けることが大切です。

RASKでは腹腔鏡手術の出張サービスを行っています。
腹腔鏡による犬の予防的胃固定にも対応しておりますので、気になる方は提携している動物病院までご相談ください。

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この記事を書いた人

獣医師、合同会社RASK代表、京都動物医療センター整形外科科⻑
資格:テネシー大学公式認定 CCRP
全国の犬猫の出張外科医として活動中